【ばあちゃんの腕時計】
私には御歳92歳の祖母がいる!
…93歳かもしれない。
細かいところはごめんなさい。
私の両親は共働きだったので、祖母と長い時間一緒に過ごした。
母親が2人いる感覚だった。
私が小学生の時、両親は離婚し父が出ていった。
その頃から母はますます忙しくなり、私と兄の為に働いてくれた。
だから、母が家に居ない時間が長くなるのと比例して祖母と過ごす時間が長くなっていた。
高校を卒業し、家を出るまでずっと一緒だったので、別れは寂しかった。
見送る祖母の涙をまだ覚えてる。
祖母が安心するような立派な社会人になろうと思った。
現在、祖母は認知症を患っている。
加えて腰やら足やらに痛みがあるようで、実家で母が介護してくれているが、大変なのがすごく伝わる。
忙しさを理由になかなか顔を見せに帰らない自分が情けない。
それでも正月やお盆には帰省する。
その際祖母は孫夫婦や、ひ孫と会えて嬉しくなるのか普段よりお喋りになるようだ。
何度も同じ話をするが元気な姿に安心する。
祖母と話をする中で、ふと腕時計の話になった。
昔から同じ腕時計を愛用していて、何度も電池交換しながら使用していたのを思い出した。
「ばあちゃんさ、腕時計してたよね。あれどこにあるの?」
「ん〜?どこさいったべな…。(どこに置いたかな…。)」
「まぁ良いや。あの時計さ、何処で買ったの?」
「ん〜?昔とーちゃんが買ってきてくっちゃ時計だがら、分がんね。(昔じいちゃんが買って来てくれた時計だから分からないよ。)」
祖父は私が生まれるずっと前に亡くなりました。
「なんだよ。そんな大事な時計を失くさないでよ。ばあちゃん、あの時計似合ってたの覚えてるよ。」
金色で、小さな丸い時計だった。
認知症の祖母の話が全て真実なのかは別として、素敵な話だと思った。
祖母に時計をプレゼントする祖父も、大切に大切に使い続けた祖母も。
なんて素敵な夫婦だろう。
祖母にとって時計の格とかどうでも良くて、大切な事は祖父からのプレゼントであるという事だったのだろう。
そのプレゼントが鞄でもアクセサリーでも、祖母はきっと嬉しくて大切にしたのだろう。
なんだか、この記事を書いてたら泣きそうになってきた。
…
祖母に会いたい。祖母の腕時計を探してあげたい。
母は元気かな。好きなご飯に連れて行ってあげたい。
